増田直紀さんの「私たちはどうつながっているのか」を読みました。この本はネットワーク科学の研究者である増田直紀さんが,人と人のつながりがどのように構成されているのかを様々な研究結果を元に紹介しています。

そして、人付き合いが上手な人、苦手な人がこれからどのように人とつながっていけば良いのかも書かれており、とても参考になったのでメモしておきます。

特に勉強になった点は以下です。

・異質なコミュニティーに属している人とつながることが大事

・身近な人と繋がって、相談しやすい環境を作る。日々の精神的な安定を得る

・上記の2つを得て、維持するためには、それに見合った人物となる

異質なコミュニティーに属している人とつながることが大事

異質なコミュニティーに属している人とつながることが何故重要なのか。それは、異質なコミュニティーに属している人とつながることによって「近道」ができるようになるからです。

例えば下の図のような形の集団があったとします。キャンプファイヤーの時の人の並びをイメージすると良いと思います。黒丸が人を表し、線が人と人が繋がっていることを意味します。この図だと、隣同士の人とその隣の人と全員が繋がっている状態です。

引用p124図5-3

そして、シャイな男性Aさんは気になる女性Cさんと知り合いになりたいとします。この図の場合、集団ではAさんは知り合いのBさんに相談しますが、Bさんはその隣の人しかつながりがありません。なので、外側をぐるぐると回ってCさんに辿り着くまでにかなり時間がかかってしまいます。

これを解決するのが、異質なコミュニティーに属している人とつながるということです。

図で表すと以下になります。シャイなAさんはDさんに相談をし、Dさんが異質なコミュニティに属しているBさんにそれを伝え、Cさんとつながることができました。

引用p125図B

このように、異質なコミュニティとつながっている人とつながることができれば、近道を使うことができ、より人生の可能性が広がっていきます。

身近な人と繋がること

では、異質なコミュニティに属している人とだけ繋がりを増やせば良いのかというと、それでは不十分で、身近な人とつながることも重要だとしています。

異質なコミュニティに属している人とのつながりだけを増やした図を見て考えてみます。

引用p126,図5ー5

この図の重要な点は、前回の図では、Aさんは隣のBさんやDさんとつながりがありましたが、今回の図では、Aさんは身近なBさんやDさんとつながりがありません。Bさんは実はCさんとつながっているのですが、シャイで相談ができず、結局Cさんとつながることができていない状況です。

このように、異質な人との繋がりが増やすだけではなく、身近な人との繋がりを作ることによって、相談しやすい状況を作ることが大事だと書いています。

さらに身近な人とつながることは、問題解決だけでなく、精神的な安定にもつながっていきます。こうした繋がりを本書ではクラスターと呼んでいます。

まとめると以下のような図になります。

上記の2つを得るためには、それに見合った人物なること

そして、1番重要だと思ったのが、人との関係を作ったり、維持したりしていく上で自分自身の人間性を磨くことが大事だと書かれていた点です。

例えば、異質なコミュニティーと繋がっている人と繋がりたいのであれば、寄生するのではなく、それに見合った対価をしっかり相手に返すようにしないといけないとしていました。そこでは、自分の人間性も重要になってくると思います。

『学び合い』ではよく「人と繋がりなさい」と言われますが、こういった論理的な本を読むと、人との繋がりがよりイメージでいるようになってきます。

こうしたイメージがあると授業においても、具体的にどう人と繋がれば良いのかを説明できるようになってきます。

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