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前回の「理科は何故難しいと言われるのか」では、教師が見ているもの、聞かせようとしているものと生徒が実際に見ているもの、聞いているものは全く違うということを研究結果を元に紹介しました。

教師は教科の専門性を高めることは、認知心理学でいう「自動化」につながり、それは必ずしも生徒にとって分かりやすい授業には繋がらないということです。今回紹介するのは「学び合う教室」という本です。この本では上記で述べた問題点の解決策を提示しています。

つまり、教師ほど熟達者ではないが、やや出来る生徒の方がうまく説明できるのではないかと仮定したのです。そこで学習者がどのような説明や動きをしているのかについての研究を行い、その研究結果から明らかになったことについて述べられています。

学び合う教室を作る意義

 そもそも学び合う教室を作る意義としては、社会における「頭の良さ」に対応する事が挙げられます。実際に「頭の良い人」とはどの様な人なのかを明らかにした研究結果が紹介されています。

我々がもつ「頭の良い人」のイメージを抽出し、「頭の良さ」を明らかにした(石田、 藤永1989、石田、小笠原、藤永1991)。彼女らの調査の特徴は、 「頭の良い人とはどんな人ですか?」という抽象的な質問をしているのではない。

最初に、 被験者のよく知っている「頭の良い人」 を思い描くよう求める。次に、様々な属性に関して、その人が 「あてはまる」か、 「あてはまらない」、「どちらでもない又はわからない」の三つの中から選択させた。 即ち、 「頭の良さ」を聞いているのではなく、実際に頭のいい人の特徴を質問したのである。質問した属性は「文章がうまい」、「常識がある」、「動作が機敏」、「自分の分を知っている」、 「いつも明るい」、「よく勉強する」 などの 67項目である。

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 彼女らは以上の調査を、日本、 韓国、 中国、台湾、 カナダ、メキシコで実施した。分析の結果、 頭の良さには 5っの因子があることを明らかにした。

第一因子は「知的言語的流暢性」で、「判断力がある」、 「判断が早い」、「要領がよい」、「頭の回転が速い」に関係する因子である。第二因子は「社交的能力」で、「話がおもしろい」、「つきあい上手」、「ユーモアがある」、「話し上手」、「話題が豊富」に関係する因子である。 第三因子は「共感能力」で、「人の立場になって考える」、「謙虚」、「思いやりがある」、 「誤りを率直に認める」などに関係する因子である。 第四因子は「勤勉 効率性」で、「時間の使い方がうまい」、「計画性がある」、「よく勉強する」、「学校の成績がよい」、「宇がきれい」などに関係する因子である。 第五因子は「有識性」で、「語葉が豊富」、「文章がうまい」、「知識豊富」、「良く本を読む」などが関係する因子である。

ここでの因子の順番は「頭の良さ」に関係する度合いの順序となっている。平常の学校で直接扱っている活動は第四、第五因子に関係している。注目すべきは、それら以上に「社交的能力」、「共感能力」という対人関係に関わる能力が頭の良さに関係している点である。

 つまり、社会で「頭の良い人」とされている人は社交的能力があって共感能力が高い人であるという事です。考えてみるとそうですね、人脈があって、自分が困った時に他人に力を貸してもらえる様な人こそ、社会でもいろんな問題を解決していっていますね。

教室における頭の良さと、社会における頭の良さは違う

 一方で、教室における「頭の良い人」とされる人は、「学力が高い人」ですね。実際にそういった研究結果も紹介されています(Mehan 1979)。なので、多くの教室においては、社会において「頭が良い」と思われる様な人を育てていないということになります。と考えると私たちがこれまで過ごしてきた教室という空間は少し異常ですね。

つづき

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