岡田斗司夫さんの「評価経済社会」を読みました。
この本でまず最初に面白いと思ったのは、アルビン・トフラーなどの有名な未来学者などの予言を部分的には肯定しつつ、結局は科学主義に基づいているから、それは現実とは異なるよねと主張していたところです。
科学主義は死んだ(らしい)
では、現実はどうなっているかとというと岡田さんは人々は科学と経済に失望していると言います。例えば、昔はアポロ計画など、科学こそが人を幸せにしてくれるものだと考えられていたのが、今では「原発は人を幸せにすると思っていたら、実はとても危険なものだった」「コロナワクチンは本当に安全なのか?」といった科学への失望を人々は持っていると言います。また経済も同様で、昔は大企業に就職すれば安泰という考え方がありましたが今は若い人を中心にその考えはなくなりつつあります。
このように、数十年前までは科学と経済こそが人を幸せにしてくれると考えられていたものが、今となってはそれによって幸福が追求できないことは明らかだと岡田さんは主張しています。
それに比べて、アルビン・トフラーは科学を人々の価値の中心として語っている点が少しずれていると主張している点が面白かったです。
これから人を幸福にするのは何か?
その上で岡田さんがこれから人が幸福を追求する上でキーとなるのは、科学でも経済でもなく、「自分の気持ち」だと主張しています。
例えば、今では就職活動をするにしても「より儲かる大企業へ」という昔の考え方をしている若者よりも「自分がやりたい事」を優先して就職活動をしている人が多いです。これは「自分の気持ち」を優先した結果だと書かれています。どれだけ儲けているかということよりも「どんなビジョンを持っていて、それが自分にとってやりがいを感じられるか」という点を就活生はとても重視しています。
今日の日経新聞の記事で、テレワークによって地方で移住した富士通の社員の人がこんなコメントをしていました。こういう人ってこれから地方でもどんどん増えていくと思うんですよね。
「毎朝海岸沿いを走り、仕事が終わったら別府温泉に入るという別府での生活が気に入っているという。地域貢献については「毎日何ができるか考えている」。現在は海外出身のAPU生から就活の相談を受けたり、別府の街を盛り上げるための地盤になるようなネットワークづくりに取り組んだりしている。」
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こうした「自分の気持ち」を大事にする人が増えてきている現代はNPOの活動をする人も増えてくると筆者は主張しています。
確かに、そういった取り組みが僕の地元でも広がっていますし、僕自身も最近そういう方々と交流しようと考えるようになりました。
逆にそういったことをアピールできていない企業は潰れるそうです。実際に僕も自分達がどういう教育をしたいのかが伝わってこない私学の求人などはじっくり見ないので、納得しました。
貨幣経済から評価経済へ
そのような社会になると、貨幣を媒介とした経済から評価を媒介とした経済へと移行していくと筆者は主張しています。
なぜなら、「自分の気持ち」によって行動する人が増えるとそこで重要となるのは、どれだけ儲けたかよりも社会的にどういった意義(評価)があるのかが大事になってくるからです。
そこにネットが介入してきます。ネットにより個人がマスに影響を与えることができるようになったことにより、誰がどこにいてもマスから評価を得る環境が整いました。
それにより、どれだけ儲けたかを競う貨幣経済からどれだけ大衆から評価を受け、大衆に影響を与えることができるのかという評価経済へと移行していく。というのが本書の内容になっています。
本書ではそうしたことを事例をもとに解説してくれています。こういった本を読むことで次に自分は何をすれば良いのかのヒントになると思います。
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