少し前の話ですが、鯖江市のNPO法人のエル・コミュニティさんの視察に行ってきました。
エル・コミュニティさんは、若者の地域活動への参加を促進して地域の活性化に寄与することを目的として活動しているNPO法人で、若者が提案する地域活性化のための企画を支援したりしています。
僕がなぜ、NPO法人のエル・コミュニティさんに興味があったのかというと、地域活性化と教育を掛け合わせた取り組みをしていたからです。
また、全国の大企業や地元の企業、そして鯖江市の自治体を巻き込みながら事業を行なっており、そうした教育の在り方にとても魅力を感じました。
教育というと「国や地方自治体、学校法人がやってくれるもの」というイメージが強いですが、地元の様々な人を巻き込みながら魅力のある仕掛けを行うことで、全国の企業から協賛を集め、自分たちで必要な教育の場を作っていくという過程が素晴らしいと感じました。
これは是非、一度お話を聞いてみたい!という事で、今回、視察をお願いさせていただきました。
まずは、エル・コミュニティさんが行っている事業を紹介したいと思います。
目次
鯖江市地域活性化プランコンテスト
毎年行われているイベントで、鯖江市を活性化するプランを全国から鯖江に集まった大学生が発表します。実際に実現まで至ったプランもあります。また、このイベントは地元の企業のみならず、全国の大企業からも注目を集めており、協賛をいただいています。
HP(https://sabae-plancontest.jp/)
Hana道場
ものづくりIT人材を育成すること目的とした事業で、20歳以下の学生は無料でものづくりIT系の教育を受けることができます。放課後に子どもたちがここに集まり、プログラミングやものづくりについて自分達で学んでいます。元々、鯖江市地域活性化プランコンテストを通して鯖江に興味を持ったITの大手企業の方がこの地でIT人材を作りたいとエル・コミュニティさんに相談したのがきっかけで始まった事業だそうです。そこから、全国の企業が注目し、現在ではSAP、KDDI、Intel、NEC、Lenovo、伊藤園など多くの企業からの協賛をいただいています。
などなど、他にも様々な事業を行っています。
何をやるより誰とやるか
エル・コミュニティを運営する竹部さんにまず聞いてみたのは、「何をやるより誰とやるか」というのは事業において、やはり大事なことなのかどうかというこです。
竹部さん曰く100%そうだということでした。これまで色んな事業をやってきた竹部さんですが、やはり誰と一緒に事業をするのかが大事だそうです。逆に自分と合わないと感じた人とは絶対に活動をしないようにしているとおっしゃっていました。
そういった意味でも、地元で何かしようと思ったら、まずは誰とやるのかをよく考えてやらないといけないと教えていただきました。西川研究室でもこういったフレーズを聞いたことあるのですが、事業においてもやはり同じなのですね。
したたかさと勢いが大事
そんな竹部さんですが、事業をやり始めた頃は何をしていたのか聞いたところ、まずは地元の色んなイベントや会議に参加してみたり、していたそうです。会議に参加してみて、何も発言はしないまま、まずどういう人達がいるのかを見ていたそうです。地元でいきなり何かをやると宣言したところで、応援してくれる人はそうそういないので、まずはしたたかに関わることが大事だとおっしゃっていました。
一方で、勢いが大事な場面もあり、何かを始めるときには勢いを利用して物事を進めていったエピソードも教えてくださいました。したたかさと勢いのバランスが大事なのだと聞いていて感じました。
ブログの重要性
また、僕のブログを事前にチェックして下さったようで、鯖江について書いていた記事も読んで下さっていました。その記事を読んで竹部さんも10数年ブログを続けているそうで、人に応援してもらったり、自分のやっていることを発信するツールとしてブログは最強だから、絶対に続けた方が良いとアドバイスをいただきました。
ブログの事も誉めてくださり、続けて良かったなと感じたと同時にこれからも発信していきたいと感じました。
教育の場を作ることで、学生が地域に目を向けるようになった
そして、僕が気になっていた地域活性化と教育を掛け合わせた事業であるHana道場についてもお聞きしました。Hana道場は今年で6周年を迎える中で、この6周年を振り返ってみてどうだったか質問したところ、「教育の場を作ることで、学生が地域に目を向けるようになった」と答えていらっしゃったのがとても心に響きました。
Hana道場には、生徒だけではなく大人の方やエル・コミュニティの方など様々な方がいます。そうなると、そこで交わされる会話はものづくりIT系の話だけではなく、地域の事など色んな会話が生まれるそうです。
そういった環境で育っていった生徒が地域のことも自然と考えるようになったと話してくださり、とても良いなと感じました。
地域に足りない教育を民間を巻き込んで自分達で作り、そこで育った子どもが地域を支えていく仕組みがとても素晴らしいと思いました。
稼ぐ力の重要性、貯めないと始まらない、そういう人達と企業もやりたい
また、NPO法人というと非営利という印象が強いですが、稼ぐ力がなければ発展してけないということも教えてくださりました。補助金が出る事業に関しても、まずは全額負担できるだけのお金がないと補助金を受けることすらできないそうです。
だからこそ、稼ぐ力をつけて、どんどん事業を作っていくことが大事だとおっしゃっていました。また、補助金を受けるにしても、最終的には自律して運営していくことを前提に事業を行わないと、企業も一緒にやりたいとは思わないとおっしゃっており、このような現実的な考え方もとても大事だと学ばせていただきました。
現状に不満をこぼして終わるのではなく、足りないものは自分達で作る
などなど、短い時間でしたが、たくさんのことを学ばせていただきました。僕の中では、地域に足りない教育を自分達で作っていくという竹部さん達の姿勢がとても印象的でした。現状に納得いかないのであれば、文句を言って終わるのではなく、代替案を行動でもって示していくという考え方にはとても共感できました。僕もこれから多様な人と繋がって、行動していかないといけない!と学ばせていただきました。
鯖江市地域活性化プランコンテストもお手伝いできることがあれば、協力させてください!と言ったところ、是非!とおっしゃって下さりました。ブログにも僕のことを書いていただきとても嬉しかったです!
新潟の大学院生が事前学習をしっかりしての来訪。素晴らしすぎました。こういう視察は大歓迎!
色んな経験を通して、学んでいきたいと思います。僕が通っている大学院では、県外に出ると2週間実習は待機しないといけないので、その辺も上手に時間を使っていこうと思います。
お忙しい中、素敵なお時間をいただきありがとうございました!!
参考記事
・中学生がロボットを製作、鯖江の「Hana道場」が面白い理由
・なぜIT企業が鯖江に注目するのか—Hana道場代表・竹部美樹氏
・福井高専、KDDI、jig.jp、エル・コミュニティ、地域産業高度化に向け提携
・SAPジャパンとエル・コミュニティ、福井県鯖江市にHanaオープンイノベーション道場開設、地方創生を支援
・プログラミング教育は「メンター育成」から、鯖江市ではシニアが活躍