3月24日に大学入試センターが2025年からの大学入学共通テストで出題する教科、科目を発表しました。教科「情報」を新設し、現行の6教科30科目を7教科・21科目に再編する予定です。

それに合わせて、新しい高校学習指導要領で必修科目となる「歴史総合」「地理総合」「公共」「情報」は初めての出題となるため、サンプル問題がネットに公開されました。

僕自身も今年の教員採用試験は高校の情報科で受験する予定なので、早速サンプル問題を解いてみました。

結果は大問は全部で大問が3つという構成で、大問1と大問2に関しては9割ほど、大問3に関しては4割という成績でした。大問3に関しては、数学Iと絡んだ内容になっており、初めて解いたので苦戦しました。

大問1

大問1では、主に基本的な知識を問われていました。これまでセンター試験で一部の人が受けていた「情報関係基礎」との大きな違いは、知識を活かさないと解けないようになっていた点です。

例えば、東日本大震災後にまとめられた通信の確保に関する報告書を基に,情報技術の仕組みとその利点,情報社会と人の関わりやその課題に関連する理解を問われています。

他には、問1のウでは情報格差のことを指す「デジタルディバイト」の話をしているのですが、これまでの「情報関係基礎」ではおそらく「デジタルディバイト」と単語を答えさせていたところを、デジタルデジバイトの特徴を選択させています。なので、ただ単にデジタルディバイトの意味を知っているだけでなく、どういったところに問題があるのかも認識しておく必要があります。

他にもネットワークアドレスの問題が1番その特徴が出ていたと思います。これまでの情報関係基礎では、問題に慣れておけばあとは機械的に計算するだけである程度解けていたのですが、今回からは「これがこうなると、どうなる?」「ちゃんと仕組みまで理解してる?」といった感じで知識を知っているだけではなくて、それを活かせるところまで理解しているか確認されているような問題でした。

 個人的には、こうした問題は定着度を測る上では良いとは思います。しかし、今回のサンプル問題は長文問題がほとんどで、基本的に文章を読むのが遅い僕の場合はスタート時点で他の人と差が出てしまいます。もう少しシンプルな問題でも、知識を活かせているかどうかは測れるのではないかと感じました。

大学入試センター 『情報』サンプル問題のねらいより

 第1問の主な出題範囲は,高等学校学習指導要領「情報Ⅰ」の「(1)情報社会の問題解決」,「(2)コミュニケーションと情報デザイン」,「(4)情報通信ネットワークとデータの活用」である。
 独立した小問及び中問で構成されており,問1では,東日本大震災後にまとめられた通信の確保に関する報告書を基に,情報技術の仕組みとその利点,情報社会と人の関わりやその課題に関連する理解を問うている。問2では,発表の場において伝えたい情報を分かりやすく表現する情報デザインの考え方や方法を理解し表現する力を問うている。問3では,画像のデジタル化に関する一連の流れと,デジタル化のメリットについての理解を問うている。問4では,IPv4 におけるネットワーク部を表すビット数を題材に,生徒が主体的に学習し探究する場面を設定して,IP アドレスの理解と基数変換の考え方を基に考察する力を問うている。

大問2

大問2はプログラミングです。下記は一部です。

選挙年齢の引き下げにより、身近となった比例代表選挙の議席配分をプログラミングで作るというもの。「議席配分をプログラミングしてみようって、なかなか凄い高校生やな」と思いながらも解いてみました。

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大まかな流れとしては、議席配分のプログラムを組む→このプログラムだと不十分であることが分かる→改善する。という流れで問題を解いていきます。論理的に考え、問題を解決できる能力が求められます。基本情報技術者試験のような問題に慣れておけば解けると思います。

解いてみた感想としては、やはり問題文がとても長いなと感じました。問題解決に重点をおいているので、長文になってしまうのは仕方がないと思いつつも、もう少しシンプルなものにはならいかなと感じました。

大学入試センター 『情報』サンプル問題のねらいより

 第2問の主な出題範囲は,高等学校学習指導要領「情報Ⅰ」の「(3)コンピュータとプログラミング」である。選挙年齢の引き下げに伴い生徒にとって身近となった比例代表選挙の議席配分の考え方をプログラムで処理するなど,情報社会の問題解決の過程を題材に,生徒が主体的に学習し探究する場面を設定している。配列,最大値探索,繰り返し処理を用いたアルゴリズムを理解し,そのアルゴリズムをプログラムで表現し,さらに具体的な状況設定に応じてプログラムを修正することを通して問題解決に向けて考察する力を問うている。問1では,一つの議席を獲得するのに妥当な得票数から各政党の当選者数を算出するプログラムを考察する力を問い,この方法では当選者数に過不足が生じる問題を理解させる。問2では,我が国で実際に用いている議席配分法であるドント方式の考え方を手順として理解し,配列変数の内容をトレースすることでアルゴリズムを正しく理解する力を問うている。問3では,問2のアルゴリズムを実現するプログラムを適切に完成させる中で,データ構造や演算処理を考えさせ,更に想定される課題においてプログラムを適切に改善する力を問うている。なお,問題の中で使用するプログラム言語は,高等学校の授業で多様なプログラム言語が利用される可能性があることから,公平性を鑑みて,大学入試センター独自の日本語表記の疑似言語としている。これは,高等学校の授業で何らかのプログラム言語を用いて実習した生徒であれば容易に理解できるものである。

大問3

大問3はソフトウェアで統計を作り、そこから得られたデータからどのようなことが考えられるかが問われる問題でした。デートを活用する能力であったり、統計を分析して傾向を見つける能力が求められます。

こちらの問題は、数学Ⅰとの内容も絡んでおり、数学が苦手な自分は苦戦しました。ただ、解説をみてみると基本的な数学の部分を押さえていれば解ける問題ばかりでした。こういうのはプログラミングと一緒で実際に自分で統計を作ってみないと身につかないなと感じました。

大学入試センター 『情報』サンプル問題のねらいより

第3問の主な出題範囲は,高等学校学習指導要領「情報Ⅰ」の「(4)情報通信ネットワークとデータの活用」である。オープンデータを用いて,基本統計量などから全体の傾向を読み取ったり,予測したりする問題解決の活動の中で,データの活用に関する考察する力を問うている。具体的には,サッカーのワールドカップに関係するデータを,表計算ソフトウェアや統計処理ソフトウェアを用いて,整理,加工し,データに含まれる傾向を見いだすために複数の散布図から項目間の相関を読み取り,得られた回帰直線から項目の値を予測したり残差について考えさせたりする。また,基本統計量を読み取り,データに含まれる傾向を見いだし,さらに,データの散らばりから傾向を読み取るなど,実践的なデータの活用及び分析に関する基本的な理解と考察する力を問うている

まとめ

今回のサンプル問題の内容をまとめると以下になります。

・大問1→知識を知っているだけでなく、活用できるレベルを求められる

・大問2→プログラミングを通して、論理的に考え問題を解決する能力が求められる

・大問3→コンピュータから得られたデータを活用し、傾向や問題を見つける能力が求められる

課題点

 課題点としては、やはり長文問題が多すぎるという点です。このままでは、国語力の高い生徒が得をするような構成になっている感じがします。なので、もう少し問題をシンプルにする必要があると思います。

 また、大問2や大問3に関しては、免許を持っていない先生が教えることは難しいと感じます。情報科は全国的にも免許を持っていない先生が授業を行っていることが多く、そうした先生が大問2や大問3の内容についていくのは難しいのではないかと感じました。なので、この問題に関しては、正規の情報科教員の採用枠を増やしていく必要があると思います。

情報科を必修にする必要はあったのだろうか?

 また、情報化社会への変化に合わせてこうした内容を教育に取り組んでいくというのは、僕はとても良いことだとは思います。しかし、一方で共通テストの必修科目にする必要があったのかというと微妙な感じもします。

 というのも、僕はこれからプログラミングやアルゴリズム、ディープラーニングやブロックチェーンというのは、AIや一部の天才プログラマーによって、99%の人にとっては「わけの分からないものになっていく」と考えているからです。

 例えば、Youtubeを普段見ていて、自分の見ている動画がどのようなアルゴリズムによって表示され、誘導されているかは誰も知りませんし、知る必要もないと思います。

 今後はこうしたAIや一部の天才プログラマーによって作られるプロダクトが増えてくると思いますし、AIや一部の天才プログラマーだけでビジネスが成立するようになっていくと思います。実際にインターネットの4倍の速度で成長しているブロックチェーン業界では、基本的に少数でチームを作り、AIやブロックチェーン技術を活用することによって、中間者を無くし、人件費を抑え、新しいプロダクトを出しています。

 そうなった時に、果たして比例代表制における議席配分のプログラムを組む能力は必要とされるでしょうか?もちろん、最初に言ったように社会の変化に合わせて、こうした教育を進めていく必要性というのは理解しています。しかし、全高校生が必修で学ぶべきことかというと、僕は「うーん」となります。

 必修化という形ではなく、選択制という形にし、例えば、生徒が地域のデジタルディバイト(情報格差)を地元の人達と協力し、解決したというような活動を大学が評価するような仕組みがあれば良いなと感じました。

 そうすれば、生徒はそこで、情報科が得意な生徒と繋がることができますし、大学側もその生徒がどのような考えをもって課題解決をしていたのかがリアルに感じることができます。この辺の入試の仕組みはあまり詳しくないので、また調べてみようと思います。

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