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 N高生のインタビュー動画を見ていると、ほとんどの生徒が「自分のやりたい事ができるようになる」とコメントしています。このコメントは、現在の公教育の課題を考える上でも大事なことだと思うので、西川研から今年7月に発売された『Society5.0に向けた進路指導~個別最適化時代をどう生きるか』を参考に考えをまとめておこうと思います。

N高の「やりたい事ができるようになる」仕組み

 簡単に言うと、N高等学校のネットワーク環境による効率化と特例を活用する事によって「やりたい事ができるようになる」仕組みを実現しています。

広域通信制とは,その名の通り,地域を特定せず広域の生徒を対象とした私立の通信制高等学校です。対義語である狭域通信制は一つの都道府県に限って生徒を募集しており,それらは公立学校です。実は通信制高等学校には非常に面白い特例が認められています。

平成30年版高等学校学習指導要領総則の第3章の第2節の5に「通信制の課程における教育課程の特例」があります。それを説明いたします。

 高等学校の各科目には学ぶべき時間は単位数で定められています。授業は年間35週で構成されています。1単位50分の授業を35回受けることによって習得できます。簡単に言えば,時間割に1コマ入っている科目を35週受ければ1単位修得できます。数学Iは3単位です。従って時間割に3コマ入っているのです。年間で35回×3の105回の50分授業を受けます。他の科目も同様ですので,時間割にはビッチリと科目が埋め尽くされていて,それをもとに年間35回の授業を受けなければなりません。それ故,子どもが学びたい個性的な学びを実現する余地はないのです。

 通信制の場合,そんな回数の授業を受けることは不可能です。それ故,特例があります。国語,地理歴史,公民及び数学に属する科目は、1単位当たり面接指導は1回でよいのです。面接指導とは双方向性を担保していればよいので,簡単に言えば授業と置き換えてもよいでしょう。つまり,105回の授業を受けなければならない数学Iは通信制では3回で可能なのです。さらに言えば、複数のメディアを活用すれば,即ち,ネット上の動画及びテレビ放送などを活用すれば,10分の8を免除することができるのです。3回を5で割ると0.6回ですが,別の定めで1回以上であることが求められるので、理論上1回の授業で良いのです。

 もちろん、授業以外に添削指導があります。これは1単位当たり3回ですので数学Ⅰの場合は9回以上あれば良いのです。

 ただし,ここでの計算はあくまでも理論上です。通信制ではそれ以上の授業をしています。そして学習指導要領に定められた質の担保をしています。

 つまり,法の定める質の担保を保証した教育を一般の高等学校に比べて短時間で実現し,その他の時間を他の学校と差別化できる時間にしています。

Society5.0に向けた進路指導〜個別最適化時代をどう生きるか〜 p47~

 以上のようにN高のような広域通信制の学校は、基礎的な学習を角川ドワンゴの得意とするネット環境を活かし、特例と組み合わせる事によって効率化する事で「やりたい事ができる」仕組みを実現しています。

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 図に表すと以下のようになります。

特に、青マークの「伸ばしたい能力に使う」時間では、角川ドワンゴのネットワークによる個別最適化したコンテンツが用意されています。例えばプログラミングを学びたい生徒がいた場合、プロのプログラマーが講義している授業を受ける事ができるのです。

他にも多様な能力を伸ばせる授業が用意されており、自分のスキルを伸ばせる環境も整っています。

さらに実際に企業にインターンシップに行く制度も整っており、伸ばしたい能力や興味がある生徒にとっては、大きく成長できる環境といえると思います。以下のリンクはYahooが出資している仮想通貨取引所TAOTAOという会社のマーケティング部でインターンをしている生徒のブログです。N高について紹介しています。こうしてみると「高校」と言うより大学に近いですね。

また、webディレクターの仕事をしている保護者からも

・IT会社なのでオンライン費用が安い
・既にオンラインのノウハウをたくさん持っている
・IT会社は様々な業種とつながりがつよい
・様々な会社と連携して高校生に色んな体験をさせている
・私が行ってみたい学校

と言った意見が出ています。

以上のように、N高等学校は今までのオンラインのノウハウを活かし、授業を効率化し、更に特例と組み合わせる事で「やりたい事ができる」仕組みを作り上げていました。

とはいえ、ここまで紹介してきたような色んなインターンに行ったり、起業したりと言ったようなやりたい事が明確で、活動的な生徒は1、2割だそうです。

残りの生徒は従来の学校にフィットしなかった生徒だと考えられます。N高等学校の生徒の8割は不登校の経験がある生徒だそうです。そしてN高等学校の進路決定率は81.8%です。一般の通信制高校の進路決定率が61.5%なのと比べると、かなり高い数字を出しています。そしてその進路も多様です。(Society5.0に向けた進路指導〜個別最適化時代をどう生きるか〜より)

従来の学校にフィットしなかった生徒がこうした個別に最適化できる教育を選択し、実際に多様な進路を歩んでいるのを見ると、公立の教育ももっと柔軟性のある形に変えていく必要が出てくるでしょう。

西川先生がよく、公立の教育は1人の生徒に全ての教科を詰め込もうとする。それは工業化社会的な発想であり、N高等学校とは真逆だと言っている意味がだんだんとわかってきました

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